平均賃金からの考察

平均給与の下落幅が過去10年で最大となった、というニュースを見ました。
(Nikkei News)

これによると35~39歳の男性の平均賃金は31万ということ。
大卒の新卒賃金が20万ということなので、その差はたったの11万。
39歳の男性を例にとれば、大卒で17年も会社で働き、その社会的経験や
知識を17年かけて増して、会社の業績に貢献(したかはわからないけど)
したことを考えると、11万という金額はあまりにも低いんじゃないかと
わたくしは個人的に思います。





ここから先、長く、熱く、語ります・・・


もちろんいろいろな職種や業種、地域にもよるでしょうが、これは行政発表の賃金統計
ですから、広く日本全国を平均化するとこうなるということらしいです。

月11万 x 12か月
ボーナスを基本給4カ月分と計算すると 11万 x 4か月
年額 176万の差額

1年の評価として10万。

斬新な人事評価制度を導入している一部の企業を除けば、人の3倍働こうが
人の3分の1しか成果をだせなくてもせいぜい給与の差は5%程度。
さきの31万円の彼、39歳を例にとると、常にAランク以上の評価をもらい
つづけたところで、32万5000円になるだけ。 
もしかしたら出世という人参は目の前にぶら下がっているかもしれない。
「このまま行けば、次の課長は君だから」なんて言われ、さらに頑張っちゃうかも。

毎日まぁ、そこそこやることやって、できないことには手をださずにノラリクラリと
立ち回り、39歳Aランクの彼の3分の1程度の成果しか出さない万年Cランクの彼。

いわゆる人事評価システムというものはそれだけで会社を作っているような
有名なコンサルティング企業がいくつもあるのですが、どの評価システムにおいても、
”やることをすべてやった”という人に、100%達成マークを与えていないのです。
100%を達成するのは、もはや当たり前の範疇なので、100%超を発揮しない場合は
がんばらなかった、という評価をうけてしかるべき、という仮定でコンサル話は進みます。
「新能力給給与システム導入」の担当者は、まずはここで、ほうほう、それはいい、と
思う。 なぜなら、給与を上げなくてすむから。 能力給を導入すべきなんていまさら
言ってる企業のほとんどは、人件費節約を別目標に掲げてる場合がほとんど。

そして、平均的人事部はこのように考えます。

1 いつも3分の1しか達成しなかった人が今回3分の3、すなわち100%を達成した。
  評価はB。(本当は100%しか達成しないので、Cぐらいにしかならないが、なぜか
  がんばりが評価される)
  彼の基本給が29万円(5%引き基本給)とすると、今回の業績賞与としては105%
  の上げ幅とする。 2か月分の賞与への反映額としては60万9000円。
  (ふむ、いいじゃないか? やつも満足だろう)

2 いつも3割増しで達成している人が今回なぜか100%であった。
  評価は当然C。彼の基本給は32万5000円だったので、2か月分x100% 65万円。
  1の彼と比べても4万1000円”も”差があることだし、今回これでやつはなっとく
  するだろう)


という具合になる。
能力の差を客観的に数値化するくせに、給与額での上限、下限があまりにも
狭いために、やった人もやらない人も大した差がないという結果がまかりとおる。
4万1000円のために、きっと2の彼は、多くの残業をし、家族を犠牲にし、
もしかしたら上司の顔色もうかがったかもしれないし、とにかく途方もなく
あらゆる努力をしたと想像します。

でも、それが日本の企業体質だし、われわれは日本人だし、そういうものだし
それ以外の選択肢は考えないし、で、ついでに、こんなことを言う。

”給料がすべてじゃない”

と。
最後は感情論や精神論にもっていくわけですね。

なんで新入社員が20万で、17年働いた人が31万なのか。
ただ、これも男性だからこのような論理展開になるのであって、女性の場合は
もうむちゃくちゃな賃金体系です。

新卒時の給与の差は1万円程度(それもおかしいのだけど)、平均すると男性の
75%の給与しか得ていない、というデータがあります。(東京都産業労働局
つまり、39歳31万の彼の75%、23万円という結果です。

私たちが新卒だったころ、初任給は大卒で15万ぐらいでしたから
17年での変化は8万ということになります。
よく考えると、今の新卒男子との給与差がたった3万という驚愕の事実。

日本企業のの給与制度を考えると、いいときはみんなでシェアし、悪い時も
皆で痛み分けする、という風土があります。
それはつまり、”いいとき”と”悪い時”を分かち合う時間があったから
言えるのであって、その両方の時を17年かけて分かち合ったのだから、
4万1000円の差でもいいのだ、と思い込まされているように感じます。

3年、5年単位で自分の業績を給与に反映してほしいと思う人にとっては
我慢がならずきっと外に飛び出るでしょう。
私もその一人。

どちらがいい、という話をしているのではないです。

公平というのは、何を基準にするかという話です。
客観的に能力を判断する必要がある、といいつつ、判断したがらない。
判断することに躊躇いがある。
なぜ?

判断したことについて責任をとりたくないからです。
「人を判断するなんて、大それたことボクしたくないし」
みたいな幼稚が人事部がいるのかもしれないし。

もっと言うと、人事部は上司の考えをきく窓口にすぎず、「評価システム」という
器を用意したのみ、という無責任なところもあったりする。

間違ったことを言うと、吊るしあげる風土。
人と違うことをしたら、懐疑的になる風土。
だいたいのところ”平均”でいいでしょう、と判断する制度。
平均からのかい離率があきらかに少ない結果を生む、人事評価システム。

相対的な評価ではなく、なぜ絶対的に判断できないのか。
それが私たち日本人の根底にある妙な偏差主義、平均主義からくるもの
であるとしたら、今後の企業発展において大きな壁となって立ちはだかると
思うのです。

以上の考えは少しペシミステックな見方かもしれませんが、平均賃金のニュースをみて
個人的に、そう、憂いたのです。
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by mysakuranbo | 2010-02-25 12:03 | 日々の出来事

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