ノッティングヒルの再発見

先日BSで映画『ノッティングヒルの恋人』(1999年)が放映されていたので、久しぶりに見てみました。かれこれ3-4回は見ていると思うのですが、ジュリアロバーツが最近またきてるなぁ、と思ったのでかなり楽しめました。

いままでは知らずに見ていたのですが、これってHenry Jamesが誰かをわかってみると面白いですね。これも大学でHenry Jamesを学んだからこそわかるセリフなのですが、ジュリア・ロバーツ演ずるハリウッド女優アナ・スコットが、冴えないイギリスの書店のオーナー、タッカーを演じる、ヒュー・グラントとこんな会話をします。

(アナがスキャンダルからマスコミを避けて、タッカーの自宅に避難したところで、次回の映画のスクリプト練習をしているところです)


WILLIAM
Brilliant.
(the scene's over)
Word perfect I'd say.

ANNA
What do you think?

WILLIAM
Gripping. It's not Jane Austen, it's
not Henry James, but it's gripping.

ANNA
You think I should do Henry James
instead?

WILLIAM
I'm sure you'd be great in Henry James.
But, you know -- this writer's pretty
damn good too.

ANNA
Yes -- I mean -- you never get anyone
in 'The Wings of the Dove' having the nerve
to say 'inform the Pentagon that we
need black star cover.'



The Wings of the Dove(1902)というのはアメリカの小説家Henry James(1843-1916)が書いた小説で、邦題『鳩の翼』というものです。アメリカではそれまでの小説は物語を推し進める役目のNarratorと呼ばれる第三の人物がいて、写実的に、全方向的にそのナレーターが周知している、というスタイルで描かれることが多かったのですが、Jamesは登場人物の意識というものに焦点をあて、その人物の物の見方などを書くようになった最初の人だと言われています。 

今となっては当たりまえのことですが、

「花子はそのとき淋しく思ったのだった」

というのは、第三のナレーターの仕業で、読者はそう思わされているのであって、実際に花子がどうだったかの心情を書き込んでいるわけではありません。 それを、

「わたしはなんて淋しいのか、と思わずにいられなかった」

と、花子の目線で書くということは物語をより物語にさせる技巧があり、現代に通じる小説らしさというものが確立されたのではないか、と思います。

で、ノッティングヒルでタッカー(William)が、

「ジェーン・オースティンでもヘンリー・ジェームスでもないけど、興味がわくね」

と言っているのは、女優であるアナ・スコットにはジェーン・オースティンやヘンリー・ジェームスにでてくるような女性たちの細やかな心情を演じてほしいけれど、実際は「ペンタゴンにブラックスターの援護が必要と通知せよ」などという薄っぺらなセリフなのでもったいない、と思っていたという話なのでしょうね。

ところで、ブラックスターって何?(笑)

古い映画だけどこういう機微がまた新たな発見となって、先日もとても楽しめたのでした。
『ノッティングヒルの恋人』はイギリスの映画監督が撮影しているので、アメリカの配給会社の映画だけれど言葉選びも、出演者もイギリス流なところがいいですね。 薄っぺらい映画は1度見たら、それで満足しておしまいだけれど、こういう映画は何度も何度も繰り返し見たくなるわけです。 

DVD買おうかしら。

ノッティングヒルの恋人 [DVD]

松竹ホームビデオ



鳩の翼(上) (講談社文芸文庫)

ヘンリー・ジェイムズ / 講談社

鳩の翼(下) (講談社文芸文庫)

ヘンリー・ジェイムズ / 講談社



Henry Jamesの英語はとても難しいので、私はぜんぜんお手上げです。
辞書をひきひき読んだとしても、1年はかかりそうです(泣) 


Script Source http://home.online.no/~bhundlan/scripts/NottingHill.htm
<一部訂正済み>
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by MySakuranbo | 2012-09-27 11:01 | -趣味のアメリカ | Comments(0)

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